葛は豆科の植物で、山野どこにでも生えるつる性の植物です。葉は家畜の飼料となり、茎は葛布や工芸品に、根は葛粉の原料となります。
良質の澱粉を取るためには、寒さ厳しい冬、人がやっと歩ける位の山奥に入り、地中深く生えている根を掘り起こします。その根を繊維状に粉砕して水と混ぜ、根に含まれる澱粉をもみだし、吉野晒という吉野地方独自の製法で精製したものが吉野本葛と呼ばれます。
冬の冷たい空気と水で仕上げる吉野本葛は、美しい白色をしています。1kgの葛根から最終製品としてできあがる葛粉はおよそ100gといわれます。
現在では根を掘る人も、良質の葛根が掘れる山も少なくなってきています。そのため江戸時代では澱粉の主流であった葛粉も、今では高価なものとなってしまいました。この葛を、葛の製法を守り続けていきたいと考えております。